少年野球の試合で、投球が捕手の後ろへ抜けて走者が進んだとき、「今のはワイルドピッチ?パスボール?」と迷うことがあります。どちらもボールが捕手の後ろへ抜ける場面ですが、記録上の考え方は違います。
結論から言うと、普通の守備で捕れないほど高い・低い・横にそれた投球や、捕手に届く前に地面やホームプレートへ当たった投球が原因ならワイルドピッチ(暴投)。一方、普通の守備なら捕球・処理できた投球を捕手が処理できず走者が進んだ場合はパスボール(捕逸)です。
| 見るポイント | ワイルドピッチ(WP・暴投) | パスボール(PB・捕逸) |
|---|---|---|
| 主な原因 | 投球が高すぎる・低すぎる・横へそれるなど、普通の守備では処理困難 | 普通の守備なら処理できた投球を捕手が処理できない |
| 地面・ホームプレートに先に当たる | そのため走者が進めば原則WP | 原則PBではない |
| 記録される選手 | 投手 | 捕手 |
| 失策になる? | ならない | ならない |
| 走者進塁が必要? | 基本的に必要 | 基本的に必要 |
ワイルドピッチ(暴投)とは?
公認野球規則の記録規則9.13では、投手の正規の投球が高すぎる、横にそれる、低すぎるなどして、捕手が普通の守備行為では止めることも処理することもできず、その結果、走者が進塁したときに暴投を記録します。
また、投球が捕手へ届く前に地面やホームプレートへ当たり、捕手が処理できず走者が進んだ場合も暴投です。
- 頭上を大きく越える投球
- 捕手から大きく横へそれる投球
- かなり手前でワンバウンドする投球
- ホームプレートへ当たり、捕手が止められず走者が進む投球
見た目としては「捕手が捕れなかった」場面でも、普通の守備で処理するのが難しい投球なら、捕手ではなく投手側のワイルドピッチとして記録されます。
パスボール(捕逸)とは?
パスボールは、普通の守備なら捕球または処理できたと考えられる投球を、捕手が保持・処理できず、そのために走者が進んだときに記録されます。
つまり、投球自体は捕手が通常処理できる範囲だったのに、ミットからこぼれた、体の近くの球を後ろへそらした、といった場面です。
ただし、「捕手が触れたからパスボール」「ミットに当たったから捕手の責任」と単純には決まりません。最終的には公式記録員が、捕手の普通の守備で処理できた投球だったかを判断します。
ワンバウンドしたら全部ワイルドピッチ?
投球が捕手へ届く前に地面やホームプレートへ当たり、捕手が処理できず、その結果走者が進んだ場合は、記録規則上はワイルドピッチです。
そのため、観戦中は「捕手が止められそうだったか」だけでなく、まず捕手へ届く前に地面へ当たったかを見ると分かりやすくなります。
走者が進まなければWP・PBはつかない?
ワイルドピッチもパスボールも、基本的には、その投球が原因で走者が進塁したときに記録されます。ボールが後ろへ抜けても、走者が動かなかった場合は通常、WPやPBは記録されません。
ただし、第3ストライクを捕手が処理できず、振り逃げの条件を満たして打者が一塁へ生きた場合は別です。このときは三振とあわせて、状況に応じてWPまたはPBが記録されます。
振り逃げの成立条件は、少年野球の振り逃げとは?で詳しく整理しています。
WP・PBはエラー(失策)ではない
ワイルドピッチもパスボールも、スコア上は失策「E」とは別の記録です。
パスボールは捕手側の記録ですが、捕手に失策がつくわけではありません。ワイルドピッチも投手の失策として数えるものではありません。
スコアブックではワイルドピッチを「WP」、パスボールを「PB」と記すことが一般的です。
走者が走っていたら盗塁になる?
投球が後ろへ抜けたことで走者が進んだ場合は、通常はWPまたはPBによる進塁で、盗塁は記録されません。
ただし、投球前から走者が盗塁を試みていて、そのまま次の塁へ到達した場合などは、公式記録員が盗塁として扱うかを判断します。
そのため、観戦席から「走者が動いたから盗塁」「球が後ろへ抜けたから必ずWP」と決めるのではなく、投球の状態と走者がいつスタートしたかを分けて見る必要があります。
得点したら自責点はどうなる?
ワイルドピッチとパスボールは、自責点の扱いにも違いがあります。
- ワイルドピッチによる進塁・得点は、状況によって投手の自責点になり得る
- パスボールがなければ得点していなかったと公式記録員が判断した場合、その得点は投手の自責点にはならない
ただし、自責点はそのイニング全体を再構成して判断するため、「PBでホームへ帰った=必ず非自責点」と一場面だけで決めるものではありません。
少年野球で親が見るなら4点
- 投球は捕手が普通に処理できる範囲だったか
大きく高い・低い・横へそれた球ならWP寄りです。 - 捕手へ届く前に地面やホームプレートへ当たったか
その結果走者が進めば、規則上はWPです。 - その投球が原因で走者が進んだか
後ろへ抜けても進塁がなければ、通常WP/PBは記録されません。 - 最終判断は公式記録員
見た目だけでは判断が分かれる球もあります。
少年野球でも大会の記録方法を確認
少年野球でも基本的な考え方は公認野球規則に沿いますが、地域大会や大会運営によってスコア記録の細かな扱い、公式記録員の配置などが異なる場合があります。
観戦中の判定とスコアブック上の記録は別です。球審がプレーを進め、その後に公式記録員がWP・PBを判断する場面もあるため、「審判がWPと宣告する」と考えない方が分かりやすいでしょう。
まとめ|投手の投球か、捕手の処理かを分けて見る
- 普通の守備で処理できない高い・低い・横へそれた投球はWP
- 捕手へ届く前に地面・ホームプレートへ当たり、走者が進めばWP
- 普通の守備なら処理できた投球を捕手が処理できず、走者が進めばPB
- WPもPBも失策ではない
- 第3ストライクで打者が一塁へ生きた場合にもWP/PBが記録されることがある
- 最終的な記録判断は公式記録員が行う
親が試合を見るときは、「後ろへ抜けた」という結果だけでなく、投球そのものが処理できる球だったか、地面へ当たったか、走者がその球で進んだかを順番に見ると違いを理解しやすくなります。

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